誰が福祉の食を支えるのか

調理師不足の実態と迫りくる給食業界の崩壊

グラフを見ると、2008年から2022年までわずか15年間で、調理師免許取得者数が一貫して減少傾向にあることがわかります。2008年に約41,000人だった取得者数は、2022年には約26,000人と、約37%も減少しています。さらに将来予測では2040年に約14,000人と、ピーク時の3分の1にまで落ち込む見通しです。

この統計が示すのは、単なる一時的な減少ではなく、構造的な問題による長期トレンドであると考えられます。

なぜ調理師の人気が低下しているのか

1. 労働環境の厳しさ

  • 長時間労働:早朝から深夜までの勤務が一般的
  • 休日の少なさ:繁忙期や週末の出勤が必須
  • 身体的負担:立ち仕事や高温環境での作業

2. 収入と労働のアンバランス

  • 他業種と比較して初任給や平均年収が低い傾向
  • スキルや経験に対する報酬の上昇率が緩やか
  • 長時間労働の割に給与水準が見合わない現実

3. キャリアパスの不透明さ

  • 独立開業のハードルの高さ(資金、立地、経営知識)
  • キャリアアップの道筋が明確でない
  • 調理技術以外のスキル習得機会の少なさ

4. 社会的要因

  • 若年層の職業選択の多様化
  • デジタル・IT関連職種への人材流出
  • 食の外部化(中食・内食の増加)による調理専門職の相対的価値低下

業界への影響と今後の課題

現在の影響

  • 慢性的な人手不足
  • サービス品質の低下リスク
  • 営業時間短縮や店舗閉鎖の増加

今後の課題

  • 労働環境の改善(シフト制度の見直し、休日確保)
  • 報酬体系の改革(技術・経験に応じた適正な評価)
  • テクノロジー活用による業務効率化
  • 給食の仕組みそのもの見直し

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投稿者:米須 靖朗